第665話:いつも、近づくのに邪魔される

「誰にも飛びかからないって約束しろ。そうしたら放してやる」

ダニエルの氷のように冷たい声が、彼女の頭上から降ってきた。

カイアの運命は完全に彼の手のひらの上だ。選べる道などあるはずもない。屈するしかなかった。

「わかった、約束する。だからもう放してよ」

カイアは、いつ引くべきかを心得ている。

その言葉を聞いて、ようやくダニエルは彼女を解放した。すると彼の鼻先に、エミリーの腕から漂う薬の匂いが引っかかった。

あの薬……どこかで嗅いだことがある。

それに包帯の巻き方――海外で修羅場をくぐってきたダニエルには、この程度の負傷がどれほどのものか、すぐに見て取れた。最悪の状況で、彼自身も何...

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